からだケア

【産後と疲労編】妊婦さん&産後ママと支える人ためのリカバル講座

出産という大仕事を終えた後の女性の体は、計り知れないほどの大きなダメージを受けています。それは、「交通事故レベル」と例えられることもあるほど。しかし、ケガならば「大変なんだな」と見た目で判断できますが、産後は妊娠中のようにマタニティマークがあるわけでもなく、不調やしんどさを周囲はなかなか気づいてあげられないもの。身近な誰かが苦しんでいるのを見過ごさないためにも、産後の変化を知識として知っておくことが大切です。
スポーツ科学の視点からウィメンズヘルスの研究をされている野村由実さんにお話をうかがう第2回は、産後の女性の疲労についておしえていただきます。

温かい見守りや手助けは、もっとも身近な産後ケア

約10か月間の妊娠期間と分娩を経た女性の体は、フィジカルな疲れはもちろん、慣れない赤ちゃんのお世話による緊張や不安、睡眠不足など、心身ともに疲労が日々積み重なっていきがちです。「休養意識を」と言っても、休むべき時に休めないのは、スポーツや仕事と産後の疲労の大きな違いと言えます。
妊娠中同様、産後もその時期によって体の状態や変わってきます。家族をはじめ、周囲の温かい見守りや手助けは、身近な産後ケアと言えるでしょう。

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体をしっかり労わりたい産後1~2か月(産じょく期)

妊娠・分娩によっておこる体の変化がそれ以前の状態に戻るまでの6~8週間を「産じょく期」といいます。大きくなった子宮が元に戻ろうとしたり、出産時の傷の痛みが続く人も。胎盤や悪露体外に出ることで、貧血にもなりやすいなど、まさに満身創痍。それに加えて休む間もなく24時間体制の赤ちゃんのお世話が始まり、慢性的な睡眠不足にも。疲労は積み重なり、またホルモンバランスの急激な変化も相まって、体だけでなく精神的にも不安定になりがちです。

昔から産後21日目を「床上げ」としてきたように、とくに最初の3週間は、できるかぎり安静にしていたいもの。生まれてからではなかなか気も回りません。妊娠中に産じょく期のサポート体制を確保しておくことは、赤ちゃんを迎えるのと同じくらい大切な準備であると言えるでしょう。

リカバリーしながら日常を取り戻したい産後3~7か月

赤ちゃんは3~4か月頃には首がすわり始め、授乳間隔が少しずつあいて昼間起きている時間が増えます。5~7か月頃には寝返りやお座りをするようになり、離乳食が始まるとさらに昼夜のリズムがはっきりしてきます。一方のお母さんは、妊娠・出産による体の変化の多くが回復し、体調が整い始める時期ではありますが、ここまでがんばってきた疲れが出てきたり、赤ちゃんの体重増加による抱っこの負担で肩こりや腰痛に悩まされる人も多いです。

筋力はおよそ妊娠前の状態に戻りますが、全員が同じではありません。「家事をもう少しやってみよう」「そろそろ仕事に復帰しよう」、人によってゴールは異なるでしょう。自分の体調を気遣って、徐々に日常を取り戻していきましょう。

もう「産後ママ」とは言われないけれど……産後1年以降

1年間、よくがんばりました!そう自分をほめてあげて欲しい産後1年。周囲からはもう「産後」とは見られないかもしれませんが、仕事に復帰したり、どんどん活発になる赤ちゃんのお世話で体力は常にギリギリ。中には夜泣きで睡眠不足が常態化してしまってつらいという人もいるでしょう。

周囲はもう「産後」とは見てくれないかもしれませんが、心も体も、回復にかかる時間は人それぞれです。抱え込んだり、「みんなはできているのに」などと思い詰めることなく、まずは家族など身近な人とシェアして、マイペースが肝心です。

野村由実
千葉工業大学 創造工学部 教育センター 助教
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科を卒業後、日本体育大学 体育学部 助教などを経て2022年4月より現職。スポーツ医学やヘルスプロモーションをはじめウィメンズヘルスの調査研究にも取り組み、産前産後の女性の支援も行っている。

この記事のリカバリ用語

  1. 疲労

  2. リカバリー・サイクル